
7つの学位プログラム電気電子物理科学系プログラムElectrical, Electronic, and Physical Sciences Program
物性デバイス分野、電気エネルギー分野、知能電子回路分野、電気電子シス テム分野、及び関連する物理科学分野で構成され、最新の高度テクノロジー社会の根幹を成す科学技術分野である電気電子工学や電気電子工学に関連する物理科学の専門性の深化と、広い視野に立って他分野との融合により、課題の探求・解決能力を有する高度な「ものづくり」を担う技術者や研究者の育成を通して、安全・安心・快適かつ次世代の持続可能な社会の形成に貢献することを目的とする。
電気電子工学およびそれに関連する物理科学を基盤としつつ、より高い専門性と複合的な視点に基づいた課題解決が求められる次世代のIoT社会や先端物理科学を支える電子デバイス開発技術、電気エネルギーの発生と有効利用技術、通信計測制御システム開発技術、先端計測技術とそれらを支えるエレクトロニクス回路技術、並びに電子デバイスなどの材料開発技術に貢献できる創造性をもち高い研究能力を有する人材および高度な知識と技術開発能力を有する人材を養成する。
- このプログラムの対象分野
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- 物性デバイス分野
- 電気エネルギー分野
- 知能電子回路分野
- 電気電子システム分野
- 及び関連する物理科学分野

便利で人に優しいスマートな社会の実現を目指した
知的情報処理機能の工学的応用
サイバーとフィジカルの融合が拓く未来社会
近年の人工知能(AI)技術の進展は目覚ましく、我々の生活はその影響を受けて少しずつ変化しています。未来社会は、サイバー空間で発展し続けるAIと人を含むフィジカル空間の融合技術がさらに発展し、より便利で人に優しい超スマートな社会が実現すると思われます。徳島大学大学院では、Society 5.0の実現に向けたサイバー・フィジカル融合技術の研究に積極的に取り組んでいます。
基礎研究から社会実装へ:知的情報処理技術の応用
知的情報処理機能は、基礎研究で得られた様々な知見をもとに構築され、その応用分野は多岐に渡ります。しかし、基礎研究を社会実装まで繋げるためには、応用分野特有の様々な課題を解決する必要があります。これらの課題に対して、我々は工学(モノづくり)の立場から応用研究に取り組んでいます。特に、AIや制御などの知的情報処理技術をベースとして、人間親和型のヒューマンサポートシステムの研究に取り組んでいます。
誰もが自由に移動できる社会を目指して
睡眠、食事、排泄などの生命維持に必要な「行為」は、「場所」と強く関連付けされています。そのため、場所と場所を繋ぐ「移動」は、QOL(Quality Of Life)の維持に重要ですが、運動機能の低下や障害があると困難になります。そこで我々は、誰もが不自由もなく負荷もなく移動できるように、安全運転支援機能付き電動車椅子の研究に取り組んでいます。特に、AIを用いて操作者の意図を考慮しながら違和感なく常に安全な状態で走行可能な人間親和型の安全運転支援システムや、ALS/筋ジストロフィー患者でも電動車椅子を操作可能な空気圧インターフェースの研究をしています。
AIによる人間中心のサポートシステムの構築
電動車椅子の操作に不慣れな方や操作自体が困難な方に対しても、操作する方の意図を最大限反映させた走行が可能です。また、操作ミスや周辺環境の認識不足を原因とする危険な状況を未然に認識し、AIを用いた自律走行制御を組み合わせることで、人間親和型のヒューマンサポートシステムになっています。これらの研究により、電動車椅子の操作性向上や利用可能範囲の拡大に繋がり、より多くの方のQOLの向上が期待できます。
AI技術の進化と豊かな社会の実現
まだまだ発展途上にあるAI技術を基に、モノづくりを通じてヒューマンサポートシステムを提案・研究することは、世の中のあらゆるモノを知的に振る舞うようにすることにも繋がり、それは、人間生活をより豊かにする超スマートな社会の実現に一歩近づくと考えています。

安野 卓教授
博士課程における研究に限らず、研究は終わりなき冒険に例えることができるかもしれません。様々な壁にぶつかっては思い悩むことも多々あるでしょうし、予想外の展開に知的好奇心が掻き立てられるかもしれません。是非、研究という冒険を楽しんで欲しいと思います。そして、多様な研究者や分野に触れることで視野を広げ、物事を多角的な視点から考えることができる研究者に成長することを期待しています。